NewsWeekに弊社松本哲哉へのインタビューが掲載されました。
驚きと感動を与える建築・空間デザインでビジネスに貢献し、人々の心に未来を描く
これまでに世界16カ国以上170タイトルを超える国際デザインアワードを受賞し、イタリアDACが発表する2024年度の建築デザイナーランキングでは世界7位にランクイン。手掛けてきた数々の店舗や商業施設のデザインが、業界で高く評価されてきた松本哲哉氏。そんな松本氏が代表を務めるKTXアーキラボがここ数年、特に力を入れているのが医療施設の建築デザインだ。
ブランディングを重視した空間デザイン
松本氏は、兵庫県姫路市で父が創業したマツヤアートワークスで店舗設計のキャリアをスタートさせた後、自らの建築デザインの思想を実現すべく2000年にKTXアーキラボを設立した。
「私のような駆け出しのデザイナーが出す奇抜なアイデアも受け入れ、早い時期からクライアントが設計を任せてくれたのは、父が築いてくれた基盤や信頼があったからこそだと思います。また、地元である姫路を活動の中心にするからこそ、東京などのクライアントに対しても、自分たちのデザイン力を確かなエビデンスとして示さなければならないと考えていました。そこで思い切って応募した海外のアワードで受賞することができ、以降は積極的に世界のデザイン賞に参加するようになったのです」
そうして建築デザイナーとしての評価を高め、現在は世界の名だたるアワードの審査員も歴任。水盤に浮かぶ雲のようなチャペルなど、他に類を見ない建築や空間創出で、クライアントが望む以上のブランディングを実現するのが、松本氏が率いるKTXアーキラボの十八番だ。
松本氏が大切にするのは、クライアントのビジネスツールをつくらせてもらっているという意識をもち、ヒアリングなどを通じて、その建築や空間でクライアントが何を達成したいのか深く理解すること。 「我々が提案するのは、クライアントの目的を叶えるための空間デザイン。例えば、日々大量の広告情報を受け取っている現代人の場合、『うちの料理は美味しいですよ』などと言葉で訴えかけるような広告では、なかなか心が動かされません。一方、空間デザインであれば、店舗などの外観や店内の雰囲気を通じて、見る人の潜在意識に訴えかけるブランディングが可能になるのです」
KTXアーキラボを立ち上げた当初から、店舗やオフィスなどをメインに手掛けてきたが、2008年リーマン・ショックの影響で店舗デザインの受注が減ったことをきっかけに、医療施設のデザインに領域を拡大。経験のない分野で着実に実績を積み上げながら、歯科や眼科医院、クリニックから総合病院のデザインまでを手掛け、現在はプロジェクトの大半を医療関係施設が占めるまでになっている。
患者と客を同列に置けば、医療施設も飲食店などの商業施設と同じように、まずはいかに集客するかが重要になる。特に新規開業のクリニックなどでは、開院してから一定の患者を集めるまでの期間をいかに短縮するかは大きな課題だ。 「その点、建築設計や空間デザインを使ったブランディングはまさに我々の得意とするところ。そうした強みは医療施設でも十分に発揮できるうえ、未開拓な領域だからこその面白さ手応えも感じています」
長く価値を認められる創造的な建築物を
従来のクリニックなどの医療施設の大半は、「癒し」や「清潔感」などがテーマとされることがほとんどで、細部にそれぞれのこだわりこそあるものの、外観や内観のデザインは大差のないイメージになることが多い。
対して、KTXアーキラボが手掛ける施設は驚くほどに独創的だ。例えば、調剤薬局のデザインでは、人が医療や薬に求める「効果」や「安心感」を喚起させるべく、最先端の研究所のようなデザインを提案。また、手術を得意とする眼科医が開いた眼科クリニックでは、手術室を共用部から見える場所に配置するなど、大胆な空間デザインに挑戦した。他にも、洞窟や緑の丘がある“世界一わくわくする”歯科医院や、近未来的なデザインのクリニックなど、従来の医療施設の常識を覆す数々のプランを実現させ、そのうちのいくつかは国内外のデザインアワードを受賞するなど大きな注目も集めている。
松本氏がデザインする一つとして似ていない建築物は、顧客のブランディングを叶えるだけでなく、訪れる人々を楽しませ、街を往く人々の暮らしを豊かにする力ももつ。同時に、「サスティナブルな社会を実現するうえでも、建築物のもつ個々のアイデンティティが重要になる」と、松本氏は話す。
「環境負荷の低減を目指すことは、今やデザインの使命。昨今、建設業界においてCO2の排出削減が大きな課題になっていますが、排出量の多くは建設工事の際に出るもの。もちろん建材や輸送方法の見直しも必要ですが、それ以上に長く価値が認められる建築物をつくることが重要になる。だからこそ、利用する人々に長く愛していただける、独自の個性やアイデンティティをもった建築物をデザインする必要があると思うのです」
松本氏の仕事に惚れ込みインターンとして来日し、スタッフとなったヨーロッパ出身のデザイナーや、医療施設の設計を得意とする建築士など、経験豊富なメンバーを揃え、さらなる飛躍を果たさんとするKTXアーキラボ。コンセプトワークから建築・空間デザイン、グラフィックに至るまで、あらゆるデザインを手掛けられるうえ、松本氏が2024年から代表を務めるマツヤアートワークスと連携したワンストップでの施工も、クライアントにとっての付加価値となる。
「今後はホテルなどの非日常感を強く求められる空間のデザインも手掛けていきたいと考えていますし、すでに数件のプロジェクトが進行している海外での案件についても、さらに増やしていきたいと考えています。夢のある未来の姿を形にすることが私たちの仕事。驚きと感動を与えられる豊かな空間体験を人々に提案し、結果としてクライアントのビジネスに貢献する。その積み重ねこそが、豊かな未来を築く一助になると信じています」